自社企画

第3章6話 見送り そして見送る

株式会社コ・ラボの企業サイトブログ「自社企画」へようこそ。このブログでは私が体験した現場の様子を文章にして記録しています。1話1話は短いモノですが、弊社オリジナルブランドNICELYで販売するMilkomedaシリーズの誕生ストーリーになる予定です。よろしくお願いいたします。


ある時、私はとある製造業の下で、
“ブランド様向けの設計担当”という立場でお仕事をしていました。
そのブランド様は、業界内でも一目置かれる存在。
製品の質に妥協はなく、設計へのこだわりも非常に深い。

大切なお客様に納める、大事な案件。
プレッシャーもありましたが、
私の設計は評価され、
その製造業にもたくさんのオーダーが入るようになりました。

ところが

私の窓口、つまり私と肩を並べてブランド様を担当する方が
常に新人さん”という状況が続いていました。

何も知らない若手の担当者が、
突然、現場の第一線に放り込まれる。
しかも、業界の有名企業の担当者に据えられるわけです。

彼らはまともな教育を受ける機会もなく、
社内外の板挟みになりながら、

それでも必死に業務を受け持っていました。

私は、彼らが潰れてしまわないよう、
ブランド様との商談に時には単独で出向き、報告や連絡も私が請け負う事もありました。
社内で新人さんが責められないように、陰からバックアップもしました。

それでも
ひとり、またひとりと、
その若い担当者たちは姿を消していきました。

残された私は、ただ見送るしかなかできません。

“育ててくれ”という明確な言葉は一度もありませんでしたが、
その空気ははっきりと感じていました。

たぶん、
「ここで揉まれて、学べばいい」
「本人の責任で乗り越えてこそ成長だ」
そういう無言の方針だったのかもしれません。

その企業様は、高額なカウンセラーを雇い、全社員に対する聞き取りやストレスチェックを実施されているそうです。

新人さんは責められるべきじゃない。
本当に責められるべきなのは
最初から“ひとりに背負わせる”構造そのものだと思う。

でもそれを、誰も口にしない。
あいつには向いていなかった…別の世界で頑張ればいい。
または、あんなやつ何処へ行ってもダメだと…

そして私はまた、
ひとりの新人さんの背中を、
黙って見送るしかない。

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