株式会社コ・ラボの企業サイトブログ「自社企画」へようこそ。ここでは私達のオリジナルブランド「NICELY」で販売予定のMilkomedaシリーズの誕生までを、私の記憶辿りながら書いています。この章では私が実際の現場で体験した「下請けの姿」について触れます。どうぞよろしく。
昔、誰かがこんなことを言っていました。
辛く苦しいとき、上手くいかなそうな時は神様に祈ればいい、助けてくれるからではない、上手くいかなかった結果を神様のせいにできるからだ。
「私は祈った、それでも神様は助けてくれなかったと…」
私はある程度、実力がつき、ある程度どんな依頼もこなせるようになっていました。
婦人下着を専門として扱う企業ですが、気づけばペットの服、ベビー用品、雨具、小物雑貨……
あらゆるもののパターンを設計していました。
仕様書も書けるようになり。
ミシンも動かせるようになり。
縫製現場で一線を張る職人さんに教えてもらいながら、
縫い目の理由を、構造の意図を、手で感じて覚えました。
生地の知識も深め、伸びる方向、縮む特性、編みのクセを掴みました。
“下着をつくる”という行為が、いかに複雑で精妙な技術の集積かを知ったのです。
現場での経験は縫製だけにとどまらず、さらに広がっていきました。
また生産工場では生地の扱い方と編み方、生地目と伸び方向の捉え方など沢山の事を学び続けました。これは今現在も続いています。
ある日 「え?この商品が縫われた順番を解いて一覧してほしい?」
とある企画で、実際にライバル店で販売されている商品をターゲットにそっくりなモノを作りたいそうです。
そして、こちらはその上のレベルの商品を提供すべく、まずはライバルの商品がどのように作れているのか知りたいそうです。
なるほど、確かに実際にある商品を参考にするならば、それが一番手っ取り早いですね。
そんな突拍子もない依頼でも商品の縫い目を観察すれば、どの順番で縫ったかは判別できます。
中に隠れて見えない部分の構造は触るだけで知る事ができる場合があります。
そしてそっくりな型紙を復元させる…私はそのレベルに達していたのです。
縫い目を解かずに仕事を終え、きれいな状態のサンプルを返却すると「あなたは依頼通りの仕事をしたのか?」と問い詰められることもありました。
解かずに分かる事があるとご説明差し上げるのに、どれだけ時間がかかったことでしょう…。
それなら「縫い目を解いておけばよかったな…」
あの担当者様はもしかすると「商品が縫われた順番を一覧してほしい」のではなく、この商品の縫い目を解いてほしかっただけなのかもしれません。
この体験を通して私はある事に気が付きました。
「現場で求められるレベルを越えている。やっていけそうだ!」
私は神に祈った事はありません。上手くいかなかった事を神様のせいにできるほど私は努力をしたのか?これが分からない内は祈るべきではありません。
まだ私は、すべてを尽くしたとは言いきれないから。
祈る前に、やることがある。
この手で、変えられることが、変えるべきことが、まだ残っている。
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