自社企画

第2章3話 責任の味がした缶コーヒー

株式会社コ・ラボの企業サイトブログ 「自社企画」へようこそ。ここでは株式会社コ・ラボのオリジナルブランド「NICELY」で扱うMilkomedaシリーズの誕生ストーリーを私の記憶をたどって綴っています。今回は、私が型紙設計者になっていく様子です。


初めてのお客様訪問。

私の挨拶は、こうでした。

「私は入社間もないため、何も分かりません。
必要な知識も無いと思いますが……どうぞよろしくお願いします」

正直、よくこんな奴に修正点を預けてくれるなと思いました。
でも私は、必死でした。

現場では、ショーツの修正点をいくつかヒアリング。

「履き込み丈をもう少し浅く」
「足口のゴム付け──糸種と運針が……」

……ああ、無理そうです。 

まるで呪文のように聞こえて、頭が真っ白になりました。

とにかく、ひたすらメモを取りました。

で、最後に聞かれたのが

「次はいつ、サンプルが届きますか?」

……私は答えました。

「はい、わかりません」

それでもなんとか場は収まり、
私は会社に戻って、すぐに報告。

帰り道、駅の自販機で買った缶コーヒーが、
あの時の私を、ほんの少しだけ癒してくれました。

この初回の商談には 実は“裏話”があります。

私の会社は、事前にこう連絡していたそうです。

「今日、新人が伺います。よろしくお願いします」

さらに、修正点や納期の話もメールで事前にやり取り済み。

……もうね。ホッとしましたよ。

「あ、うちの会社は狂ってなかった!」って(笑)

まぁ、やり方には問題あると思いますけどね。

翌日。

会社に届いた修正点と、私のメモを照合。

一致していました。

「修正点、聞いてくる」──これは何とか務まりそうです。

たとえばこう答えれば良さそう:

「次のサンプルスケジュールは、判明次第こちらからご連絡いたします」

これで、しばらくはいけそう。

うん、私はもう“修正点聞き取りのエキスパート”だ!

そう思っていたのですが。

次の瞬間、社内の一言。

「じゃあ、その型紙の修正、よろしくね」

……は?

私!?!?!?

前言撤回。

やっぱりうちの会社、狂ってます。ほんとうに、すいませんでした。

さすがに、最初の“型紙修正対応”には、補助がつきました。

作業は、紙に向かって手を動かす……のではありません。

実際には、CAD(キャド)システムと呼ばれるソフトを使って、
パソコンの画面上で行います。

操作は、ひたすら──

マウスの連打。

驚くほど地味な作業ですが、
この数キロバイトの設計データが、
メールの添付ファイルとして、世界中どこにでも送れる。

そんな時代なんです。

今では、設計士が紙に向かって“手描き”することなんて、ほとんどありません。

私の役割も、気づけば少しずつ変わっていました。

「修正点を聞き取るエキスパート」だった私は、

今もうすでに…
「型紙を持つ設計担当」として、
少しずつ責任を受け取っていくことになったのです。

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