株式会社コ・ラボの企業サイトブログ 「自社企画」へようこそ。ここでは株式会社コ・ラボのオリジナルブランド「NICELY」で扱うMilkomedaシリーズの誕生ストーリーを私の記憶をたどって綴っています。今回は、私が型紙設計者になっていく様子です。
初めてのお客様訪問。
私の挨拶は、こうでした。
「私は入社間もないため、何も分かりません。
必要な知識も無いと思いますが……どうぞよろしくお願いします」
正直、よくこんな奴に修正点を預けてくれるなと思いました。
でも私は、必死でした。
現場では、ショーツの修正点をいくつかヒアリング。
「履き込み丈をもう少し浅く」
「足口のゴム付け──糸種と運針が……」
……ああ、無理そうです。
まるで呪文のように聞こえて、頭が真っ白になりました。
とにかく、ひたすらメモを取りました。
で、最後に聞かれたのが
「次はいつ、サンプルが届きますか?」
……私は答えました。
「はい、わかりません」
それでもなんとか場は収まり、
私は会社に戻って、すぐに報告。
帰り道、駅の自販機で買った缶コーヒーが、
あの時の私を、ほんの少しだけ癒してくれました。
この初回の商談には 実は“裏話”があります。
私の会社は、事前にこう連絡していたそうです。
「今日、新人が伺います。よろしくお願いします」
さらに、修正点や納期の話もメールで事前にやり取り済み。
……もうね。ホッとしましたよ。
「あ、うちの会社は狂ってなかった!」って(笑)
まぁ、やり方には問題あると思いますけどね。
翌日。
会社に届いた修正点と、私のメモを照合。
一致していました。
「修正点、聞いてくる」──これは何とか務まりそうです。
たとえばこう答えれば良さそう:
「次のサンプルスケジュールは、判明次第こちらからご連絡いたします」
これで、しばらくはいけそう。
うん、私はもう“修正点聞き取りのエキスパート”だ!
そう思っていたのですが。
次の瞬間、社内の一言。
「じゃあ、その型紙の修正、よろしくね」
……は?
私!?!?!?
前言撤回。
やっぱりうちの会社、狂ってます。ほんとうに、すいませんでした。
さすがに、最初の“型紙修正対応”には、補助がつきました。
作業は、紙に向かって手を動かす……のではありません。
実際には、CAD(キャド)システムと呼ばれるソフトを使って、
パソコンの画面上で行います。
操作は、ひたすら──
マウスの連打。
驚くほど地味な作業ですが、
この数キロバイトの設計データが、
メールの添付ファイルとして、世界中どこにでも送れる。
そんな時代なんです。
今では、設計士が紙に向かって“手描き”することなんて、ほとんどありません。
私の役割も、気づけば少しずつ変わっていました。
「修正点を聞き取るエキスパート」だった私は、
今もうすでに…
「型紙を持つ設計担当」として、
少しずつ責任を受け取っていくことになったのです。
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