株式会社コ・ラボの企業サイトブログ 「自社企画」へようこそ。ここでは株式会社コ・ラボのオリジナルブランド「NICELY」で扱うMilkomedaシリーズの誕生ストーリーを投稿しています。ご覧あれ。
下着の会社なのだから 下着姿のお姉さんにでも会えるのかと思っていましたが今に至るまでその経験はありません。
このことは非常に遺憾であり誠に残念です。
お姉さんではなく「姉」…希望ではなく「現実」…無情なり
姉は私に下着の基礎を叩き込んでくれました。
素材の事 設計の事 私達の会社の立ち位置 そしてどう振舞うべきなのか
そして何よりも、自分の下着観を共有してくれたことが最も印象深いです。
まず、姉はブラジャーについて満足していませんでした。
姉の体形はあくまで一般的、体つきも至って普通なので特殊な仕様は必要ありません。
しかも世の中に下着屋さんはいくつもあるのだから、下着業界にいるその知識を活かしてぴったりな下着をみつければよいのでは?と思いましたが、そんなに浅くなかったようです。
まずブラジャーという下着にはその形を美しく保つために骨材とも呼ばれるワイヤーが入っている事が一般的です

このワイヤーが長時間の着用によって体に負担をかけている。
これが長年解決をみていないブラジャーの課題である。という事でした。
そして姉は「ワイヤーの被害者の会の代表」を務めていると言わんばかりの熱弁でした。
ここで私は大いなる謎をぶつけてみる事にしました。
「下着を作る人なんやから、その下着…自分で作ればええやんか…」
しかし私の問いは空を切る事になります。何故空を切ったのかを姉は丁寧に教えてくれました。
一般的なブラジャーの形はこうです。

姉が言うには、左右のカップに配置されたワイヤーが胸を美しく整え、下から支えてくれます。
このワイヤーの形の根拠は、胸に出来るだけ長く接している事。
そうすれば体型補整の効果を最大限に引き出すことが出来るという事です。
この形で問題になるのは特に前中心の箇所(赤〇拡大図の部分)で痛みが出る事、違和感を覚えるユーザーが非常に多く、姉の場合は肌に疾患を持っていたのでその痛みと不快感は顕著でした。
そして今あるミシンと資材と縫製工程の組み合わせではこの形以上の補整感は生み出せない。
どうしても「いやならこんな案もある」と次々に店に並んでいるようなブラの説明をしてくれました。
次いで説明してくれたのは、前中心が比較的低く設定されているモノでした。
これはとってもいい案だそうです。

痛みの出る部分に触れないような設計、これならば使う資材や工程に大きな変更なく痛みや違和感を避ける事が出来ると。
但し!体型補正という観点ではやはり少し劣るそうです。
一日中付けていて何度もブラの位置を直す?戻す?必要があるらしいですね。
それはトイレの時や誰もいない事を確かめた空間でイソイソと胸辺りを気にしている、そんな新たな負担を強いる物でした。
続いてもっと進化したバージョンを見せてくれました。
今度は前中心にほとんど触らないというという仕様です。

これまではU字型のワイヤーでしたが、今度はL字型ワイヤーと呼ばれるものです。
なるほどこれはいいかもしれません。
痛みの原因を取り除くという目的では一番効果がありそうです。
しかし、この形のブラでも姉は満足していませんでした、というよりも怒っていました。
天狗よりも赤い顔をしながら「これはね、前かがみになったらトップ(乳首が)見える…怒」
楽を追い求めるとその先に羞恥が待っているという事です。
そして最後にはノンワイヤータイプのブラジャーが市場を席巻し始めているという事も教えてくれました。
ほうほう、なるほど。はいっ出ました!根本解決じゃない?
痛みがあるなら、その原因を今この瞬間に断ち切って、最初から使わなければいい
売る側もそれを推しているなら、それを使いましょう。
そして私達もノンワイヤーのブラを世に送り出そうではないですか!?
これで解決ですよね。
帰っていいですか?
というと さっきの天狗のような顔より赤くマグマのよりも熱く火が付いた姉が
「あり得ない! こんなもの、もはや胸を覆っている何か…ブラと呼べるものなんかじゃない。だいたいねワイヤーって結構値のはる部材なんよ!それがなかったらどうなる?安く作れるわけ!つまり利益なんやって!ビジネスなの!分かる?着用者の事なんて誰も考えてないの!これはブラジャーとは呼びません誰でも思いつく利益追求の終着地点です」 どうやら私は知らぬ間に地雷を踏んでいたようです。姉の逆鱗に触れました。
この説明を聞いた当時、私は下着業界転職してきて間もない新人です。
下着業界の何者でもありません。
何も知らないとはある意味無敵です。
ふーん…今聞いたすべての問題を解決するようなブラを、もしも作れたら
下着の世界はきっと、変えられるんじゃない? そう問いかけていました。
しかしながら根拠はありません。
残念ですが私は未だ何も知らないだけでなく何の経験もないのだから。
ですが、私は姉に 「もし、仮にそれが完成すれば売れるんじゃない?」
そう聞いていました。しかし姉は浮かびません。
そこで語られたのは下請けの役割でした。
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