自社企画

第1章1話 社会人のポケット

株式会社コ・ラボの企業サイトブログ 「自社企画」へようこそ。ここでは株式会社コ・ラボのオリジナルブランド「NICELY」で扱うMilkomedaシリーズの誕生ストーリーを投稿しています。いろんな要素がありますが、ほとんど私の回顧録です。お楽しみいただければ幸いです。


今でこそ下着ブランドを立ち上げていますが、実は
私はずっと下着業界で働いていた訳ではなく、転職を経て、父の会社に流れ着きました。
どうやら下着に関わる何かをやっているらしい。そのくらいに思っていました。

「なんでもいい……明日食う飯に困らなければ……なんでも……」
他にやりたいことなんか、ありませんでした。

学生時代、自分の夢を追いかけて、そしてその夢に破れたあと。
やりたいことはなくなって、「モチベーションが」「やりがいが」と語る社会人の鏡のような人たちからは、わざと距離を取っていました。

初めは、なんとか雇っていただいたIT系の企業にプログラマとして入社し、VB、VB.net、C++やC#といった言語に触れました。
プロジェクトに参画し、数千行のコードを書き続ける毎日。でも、誰の、何の役に立っているのか?今でも分かりません。

少し業務に慣れてきた頃、先輩社員からこんなことを言われました。

「この現場ではVB.netを使えるようになったな。
 でもな、それは他の現場に行っても、できるだけ黙っておいた方がいい。みんなそうしてる」

『え?やっとプログラマっぽいことができるようになったんですよ?』

「それはいいことだよ。でもな、『できます!』なんて言おうもんなら、
 全部、何から何までお前に回ってくるぞ。VB.netかぁ…苦手っすね〜、って言っておくんだよ」

『……みなさん、そうされてるんですか?』

「そ。あんまり気張るなよ」

これは、私が初めて学んだ「社会人としての立ち回り方」でした。

私はプログラマになるために生まれたわけじゃありません。
でも、それは多くの仲間も同じでした。夢を追いかけ、破れて、今ここにいる。

プログラマとして生きていく。
それは“やりたいこと”じゃなく、“生きるための選択肢”でした。

実際の社会は、そういう大人の集まりなのかもしれません。

このまま終わっていくのだろうか
そんな不安を飲み込んで、それでも社会が、私という無能な大人を受け止めてくれている。
そんな気がしていました。

いつもポケットには、今月の小遣いを全ブッ込みして外れた馬券とか、
王者・松井にささげた舟券とか……
ええ、カスです。笑

……でも。
私のポケットには、それだけじゃなかった。

「気張るなよ」
「あんまり出来ますって言うなよ」

あのとき、先輩がくれた言葉も──
今でも、ちゃんとポケットの中に入っています。

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