株式会社コ・ラボの企業サイト「自社企画」にようこそ。本ブログでは私達が企画・設計・開発を進めている製品について投稿しています。
ひとつ前の投稿では、私達の特許技術について取り上げました。左右のカップが最も近づく箇所でのワイヤーによる違和感を解決するという内容でした。その技術を用いて製品を完成させていくのですが、優れたフィット感とサイズ感を求めて、もう一点、解決の提案をさせていただきたいと思います。
今回はブラジャーの構造上の問題に触れるため、この投稿をご覧の皆さんにも必要な情報を共有するところからはじめます。前提条件を揃え、解決すべき問題に順を追って近づいていきます。
ブラジャーのサイズはJIS規格(日本工業規格)によって定められています。まずはそのサイズ表をご覧いただきます。
この規格によれば、ブラジャーのサイズはアンダーバストとトップバストという2つの軸で管理しており、アンダーバストを5cm刻みの数値で表記し、トップバストを2.5cm刻みのアルファベットで表記します。このサイズ表で日本人の9割をカバーする事ができ、この投稿をご覧の皆さんもこのサイズ表のどこかに当てはまるはずです。当然ながらアンダーバストが70cmや75cmぴったりという事は稀なので、アンダーバストが71.5cmの方は70サイズとみなしましょうね、という近いサイズへの調節はあります。こうした調節はトップバストについても同じことが言えます。さて、このJIS規格で定められたサイズ表から読み取れるのは、同じような胴体でも胸の大きさが違う体形が存在しているという事です。例えばA70とD70のように。そして胴体の大きさが違う場合でも同じカップの表記になる事があります。例えばB65とB80のように。
続いて、先程のサイズ表を設計者の見慣れた形に変形してみます。
JIS規格の表では、アンダーバストとトップバストの2つの軸で表されていましたが、今度は、カップの大きさと、そのサイズに使用されるワイヤーという2つの軸での表記となります。ワイヤーの「号」については、1つ号数が上がる毎にワイヤーが大きくなっていきます。
※ワイヤー画像:2号から6号の例
一度、分かりやすく話をまとめます。
ブラジャーにはアンダーバストとトップバストで管理されたJIS規格が存在します。そして現行のブラジャーは図-2で見た通り1つのワイヤーに複数のサイズが割り当てられる場合があります。また、アンダーバストが大きくなる毎にワイヤーのサイズも大きくなり、カップが繰り上がる毎にもワイヤーサイズをアップさせています。
さて、ここからが本題です。図-2で見て頂いた表を読み取ると、例えばB75の方とC70の方には同じワイヤーを使用します。つまりこの二つのサイズについて、胸は胴体に対して同じ設置面積であるという解釈になりますね。なんだがおかしな気がしませんか?
この説明をクローズアップするためにもう一度先程のワイヤーとカップの表をご覧ください。そして赤枠で囲んだワイヤー5号を取り上げます。
このワイヤー5号で管理するサイズは非常に多く、1本のワイヤーにAA85サイズ、A80サイズ、B75サイズC70サイズ、D65サイズ、E60サイズの6サイズを割り当てる事になります。AA85では胴体が比較的大きく、胸の高さが低いサイズとなります。一方で同じワイヤーで提供されるE60では、細めの胴体に高い胸であるはずです。この2サイズを1本のワイヤーで管理できるでしょうか?
言葉の説明では理解しにくいかもしれませんので図で表します。
黄色線で描かれているのは、AA85のバスト部分を水平に切り取った図で、青線で描かれているのはE60の水平図です。この2つのサイズに同じワイヤーを使おうと言っているのです。いよいよおかしいですね。
もう少し詳しく解説してみます。これまでの仕組みで製造工程を進めると、一つのワイヤーをAA85サイズとE60サイズに使用します。ワイヤーは体を美しいラインに整える補整機能について大きな役割を担うため、固い素材が使われています。そのため、AA85サイズではワイヤーの巾が狭くキツく感じる商品が出来上がり、E60ではワイヤーの巾が大きくて、胸が横に流れてしまうような商品が出来上がるという事が起こってしまいます。
ここでは一番上のサイズと一番下サイズという極端な例を取り上げましたが、例えばB75サイズとC70サイズというように重なり合っているサイズを取り上げても同じ現象が発生しているのです。細かく見ていけばそもそも1つのワイヤーで管理しようとする胴体の大きさが違うのだから、胸の接地面積は違って当然なはずです。これまでのブラジャーはこのように作られ、「着用感が優れています」と謳ってきた訳です。これが、これまでのブラジャーがあなたにフィットしなかった一番の理由です。これでは、ワイヤーに違和感は出るし、ノンワイヤーが人気なのも理解できます。
さて、ここに疑問を持つ私達の解決策は、1つのサイズに対して1つのワイヤーを使う。です。今回の企画では、1つのサイズに最適なワイヤーを作り、特許技術と共にお届けします。
元を返せばJIS規格で定められたサイズでは、それぞれ独立した体型である、としているのにも関わらず、作り手の都合によって着用者に負担をかけているというのが現状です。製造工程において管理がしやすくコスト面での利点もあるようですが、長らくこのワイヤーの仕組みと管理方法が使われているために、疑問に思う技術者はごく僅かです。それまでの業績を否定する事になりますから手が出せないのかもしれません。しかし、どこかおかしく感じる仕組みを改善する事なく優れた商品が完成するとは、私は思わないのです。
本ブログの投稿は、私達が開発を進めている商品のフィッティングアドバイザー様へ向けた商品のコンセプト解説を含んでいます。