株式会社コ・ラボの企業サイト「自社企画」にようこそ。本ブログでは私達が企画・設計・開発を進めている製品について投稿しています。
ここ10年程の下着市場では、ブラトップが流行しています。その主な理由は「楽だから」が最も多く、よくよく聞いてみると体を美しく整える補整機能については「あまり期待できない」そうです。なんせ、普通のブラはワイヤーが食い込むし痛い。なんだかぴったりフィットするサイズも見つからないから、それならばいっそ楽な選択肢を選んでおけば間違いはないはず。そんな調査結果が出ています。
技術屋である私達の元にもブラトップのように着用が楽で、極力コストを抑え、手の込んでいないモノを作りたいという依頼を受ける。なるほど多くのユーザーが愛用しているアイテムに寄せて研究、開発する事で利益を追求する事はビジネスの世界では普通の話だが、なにか納得のいかない話に聞こえてしまう。
「着用の楽なモノが好ましいです。」 これは問題ない。
しかし「なので補整機能は諦めます。」 という結論がベストな回答だとは思わないのです。
片方を優先するあまり、重要な点を諦めるというのは、本質を見る事なく問題を避けて通ってしまってはいないだろうか?
では、「着用が楽で体を綺麗に見せ、フィット感も充分なブラがあれば必要としていただけますか?」これが下着に関わる問題解決のスペシャリストである私達からの提案です。
問題は避けて通るのではなく解決すべき。
この投稿では、私達が開発を進めているブラジャーについて触れていきます。そのコンセプトを分かりやすく説明するために、まずは一般的なブラジャーの画とそれぞれのポイントをまとめます。
まずはじめに、最もベーシックな形をご覧いただきます。
このような形のブラジャーは胸を丸く覆うため、着用時の体型が最も綺麗に見えるとされています。少し専門的な表現を借りると「補整機能が高い」と言えます。しかしながらこの例で示されている赤丸で囲まれた部分でワイヤーが隣り合っています。この巾が広いため、人体の構造とのミスマッチを起こします。例えば、ワイヤーが食い込んで痛い、肌が赤らむ、日常生活でのちょっとした動きにストレスを感じるというような例が挙げられます。先程の赤丸箇所の巾は、ワイヤーの特性上20mm程度必要になり、その巾に向けて胸を寄せるため赤丸箇所で体が悲鳴を上げるのです。
各項目をスコア化するとこんな感じでしょうか?
補整機能 ★★★★★ 5.0 体の形を整える事に長けている
快適性 ★★☆☆☆ 2.0 着用時の違和感は最も大きい
デザイン性 ★★★★☆ 4.0 レースやリボンの加飾で変化を付けやすい
続いて着用の違和感を回避しようと考案された形をご覧いただきます。
先程よりも短いワイヤーを使用して、前中心の違和感を軽減しようとしたもので、現在最も一般的と言えます。しかしながらワイヤーで覆われる長さを短くするため、胸を覆う面積が小さくなります。これによる弊害は補整機能が弱まるという事です。胸を小さな手で寄せて上げる場合と、大きな手で寄せて上げる場合、どちらがコントロールしやすいかイメージしていただくと理解しやすいでしょう。
こちらもスコア化してみます
補整機能 ★★★★☆ 4.0 体の形を整える事ができる
快適性 ★★★☆☆ 3.0 着用時の違和感は回避できる
デザイン性 ★★★★☆ 3.0 レースやリボンの加飾で変化を付ける事ができる
続きましてワイヤーの長さだけでなく形を変形させた形をご覧ください。
L字ワイヤーとも呼ばれるものを採用してワイヤーについての違和感が発生する箇所を避けるアイデアです。違和感を発生させないという点では優れていますが、カップ部分の面積が小さくなるため補整機能は前の2つよりも劣ってしまいます。また決定的な弱点を持っており、それは前かがみの姿勢をとった時に胸が半分以上見えてしまうという事です。これを理由に着用しないというユーザーも多く存在します。
こちらもスコア化すると
補整機能 ★★★☆☆ 3.0 体の形を整える事に長けている
快適性 ★★★☆☆ 3.0 着用時の違和感は少ない
デザイン性 ★★★☆☆ 3.0 全体的に面積が小さくバリエーションは多くない
さらに、図では示しませんが、ノンワイヤーのモノも存在します。
実際の店舗をみるとノンワイヤーは必ずと言っていい程販売されています。痛みや違和感があるならば、それを無くせばよいという斬新なアイデアですが、ブラジャー本来の目的である体の形を整えるという点においては期待できません。近年技術の進歩によってワイヤーに変わる樹脂製の板のようなものを採用したものもありますが、裏を返すとワイヤーを無くすだけでは優れていないと認めているという事です
さて、ブラジャーの代表的な形を見て頂きましたが、それぞれに問題を抱えているという事を理解いただけたかと思います。補整機能を十分発揮するためにはワイヤーで胸を支える必要があるけれど、違和感、痛みを誘発するのでそれを避けたい。ワイヤーの長さや形を工夫すれば、それらは軽減するものの、補整機能も共に犠牲にしてしまう。つまり、違和感を解消して尚且つ補整機能を損なわない商品を開発できないか?これが私達が到達したミッションです。
私達の回答はこのようになります。
最もベーシックな形で紹介したものに似ていますが、左右のカップ最も近づく箇所の巾が狭くなっています。実際には10mm程度になりますが、短いワイヤーを採用することによって胸への干渉を最小限に留めます。更に、ワイヤーが入っていない部分を意図的に作り、胸を最大限カバーし補整機能を損なわず、長時間の着用に耐えるというアイデアです。ワイヤーは「骨材」とも訳されることがあります、その多くが金属製という事もあり体に適した形で配置されない場合、大きな違和感に繋がるのはユーザーの皆様がご存じの通りです。このアイデアでは人体構造の観点から骨と骨の距離と位置を最適な関係に保つ関節の役割を模して作り上げました。
アイデアとしてはシンプルなものですが、この形に縫い上げる工程を組み、実際の生産現場で安定的に縫い上げる方法が確立されておらず、構想から10年以上の研究を重ね、世界初の技術として令和5年に特許として登録されました。
専門的な文面になりますが、ご興味ありましたら私達の特許技術に関する書類を特許庁のホームページでご確認いただけます。
※上記プラットフォームにアクセスした後、画面中央の簡易検索欄に「特許第7208639号」と入力してください。
本ブログの投稿は、私達が開発を進めている商品のフィッティングアドバイザー様へ向けた商品のコンセプト解説を含んでいます。