下着の基礎講座

No.2ショーツ

株式会社コ・ラボの企業サイトブログ「下着の基礎講座」にようこそ。本ブログでは下着・肌着の基礎を学んでいます。

基礎講座№01では、下着の分類について学びました。下着業界で扱われる品目と種類、つまり下着の世界の広さを把握した事になります。以降しばらくは下着の分類から一つずつ取り上げて理解を深めていきます。

【ショーツについて】

今回クローズアップするのは「ショーツ」です。最も一般的な下着として使用されており、その種類はとても豊富で、様々なスタイルがあります。全ての種類を一度に取り上げると膨大な情報量となるため、この投稿ではノーマルショーツを主に取り上げます。まずはノーマルショーツのデザイン画をご覧いただきます。

ノーマルショーツとは、正面から見た時に足ぐり(鼠径部)に沿うようなラインを持ち、背面ではお尻(臀部)を全体的に覆います。またウエスト(腹部)の履き込みに関しては、おへそよりも下あたりに位置するモノをノーマルショーツと呼びます。異なる呼び方としては、セミビキニやノーマルレッグ、またはフルバックと呼ばれています。単純にショーツと呼ばれる場合はノーマルショーツを指しており、ユーザーはシンプルに「パンツ」と呼ぶ方もおられるでしょう。

ショーツは全般的に、前身頃、後身頃、マチ(クロッチ)布の3つのパーツで構成されています。マチ部分に関しては肌当たりと表面の2重構造を持っており、肌当たりには天然素材が使用されます。参考までにノーマルショーツの型紙のシルエットも確認してみましょう。

ここで示している型紙では、レースをはじめとする装飾を割愛しています。設計に関しては別の機会に取り上げますが、この型紙のラインによって着用感が大きく変わります。

【ショーツか?パンツか?パンティか?】

下着は本来、洋装のために開発された衣類です。そのため一般に下着と言われる物は洋装下着という部類に入ります。日本に洋装下着が本格的に普及し始めた頃は、アメリカの影響を大きく受けた時代背景の基で、洋装下着の呼び名も英語名が採用されています。と前置きしたうえで、私達がショーツやパンツと呼んでいる下着は英語では、パンティと呼ばれています。ショーツは日本語で言う短パンを指し、パンツはズボンを指します。残念ながらショーツやパンツという言葉は日本でしか通じません。日本で下着を販売されている企業の中でも、パンティという正式な名称で扱われているケースもありますが多くはありません。

【ショーツの起源】

ショーツの起源として最も有力な説は腰巻の誕生が挙げられます。おおよそ紀元前3000年頃には布を織る技術があったとされ、腰にスカートのように巻き付けたり、褌(ふんどし)のように股下をくぐらせ、腰で紐を結ぶ「ロインクロス」が誕生しています。また一説によると、南米の川に生息するカンディルというナマズの仲間が体内に侵入するのを防ぐために、Tバック状の下着が誕生していたという見解もあります。私達の祖先が南米大陸にたどり着いたのは1万2000年前と言われています。

【日本への伝来】

1500年代後半、安土桃山時代に行われた南蛮貿易で、ポルトガルの船に女性用のショーツが積み込まれていたという記録があるそうです。という事は時の武将、豊臣秀吉は女性用の下着を目にしていたかもしれません。もっともこの頃は現代のショーツというよりもズロースに近いものであったと思われます。この頃は女性用洋装下着の文化は定着せず、一度その流れは途切れます。現代的なショーツについては、昭和24年(1949年)頃、日本でのショーツの開発が始まりました。

【ショーツの功績】

今回デザイン画に描いている現代的なショーツは、基本的に伸縮性のある素材を使用して、体に密着するように設計・製造されています。それは昭和34年(1959年)伸びる繊維ポリウレタンの登場によって現実のものになりました。以降、豊富なデザインや装飾で人々の生活に彩を添え、現在では最もポピュラーなアイテムへ進化しています。機能性が高まったショーツによってもたらされた功績は、女性の生活におけるストレスの緩和にあります。女性には周期的な「月経」があり、経血を受け止めるナプキン等が使用されますが、伸縮性に富んだショーツは、体の動きにフィットしながらこのような状況によるストレスの緩衝材として機能しています。現代の方々はそうした価値を実感する事は無いかもしれませんが、ショーツが無かったその昔、褌(ふんどし)や、ゆったりとしたズロースのみで月経期を過ごすことを想像していただければ、ショーツの真価に気付く事が出来るかもしれません。積極的に語られることはありませんが、現代的なショーツが普及したタイミングと女性の社会進出が盛んになったタイミングは非常に近く、そこには因果関係があると考える事もできます。だとすれば、下着を理解する事は女性史を理解するとも表現できるでしょう。

今回はここまで、次回へつづきます。

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